A. 必ずしも水分不足が原因というわけではありません。まずは腹部のマッサージや綿棒で浣腸するなど家でできる対策を。
ご質問ありがとうございます。便秘になるとうんちをするときに痛そうに泣いたり、肛門の皮膚が裂けてうんちに血がついてしまったりしてしまうこともあるので、なるべく便秘にならないように過ごしたいですよね。
便秘を避けるためには、どうして便秘になるのかそのメカニズムを知っておくことがとても大切です。便秘のメカニズムなどについてまずは解説したいと思います。
なぜ便秘になるの?
ご質問の離乳食開始時期の便秘については、離乳食開始以後に水分摂取量が少なくなることが原因とされていますが、水分摂取量を多くしても改善が得られないことも多いです。
排便のメカニズムは、便が肛門の近くまで来ることで腸管が拡がり、肛門の近くの筋肉が腸管拡張に反応し、収縮することで便が出てきます。
便が肛門の手前にずっとあると、腸管が拡がりっぱなしになるため、近くの筋肉の反応が乏しくなり、便が出てこなくなってしまいます。そうするとまた、便がたまってしまうため便秘の悪循環が始まってしまいます。これが乳児期の便秘のメカニズムです。
おうちでできる対策は?
1. 腹部のマッサージ
大腸はおへその右側を上がり、肝臓の下を通り、ひだり側を下に向かいます。この順に沿って、”の”の字を描くように優しくさするマッサージを行うことで便が前に進んでくれます。
2. 綿棒浣腸
ワセリンやオイルなどを綿棒の先端に塗布し、粘膜を傷つけないようにしてから肛門の中に綿棒の先端を入れ、腸を伸ばすように回します。
腸を伸ばすことで、周囲の筋肉がうんちがきたと勘違いし、収縮してくれるため便がでてきます。普段の生活で排便する際の生理的な反応を利用しているため、習慣性などの心配もいりません。
3. 水分摂取
水分摂取量を増やすことで便秘が解消するエビデンスはありませんが、夏場の暑い時期などは多めに水分を摂取した方が便秘になりにくいでしょう。
病院に行った方がいい症状
また医療機関を受診した方が良い便秘のサイン、red flagsをご紹介します。以下のような症状があった場合はなるべく早めに医療機関を受診し、かかりつけ医の先生に相談してください。
- 成長障害や体重減少
- 繰り返す嘔吐
- 血便
- 下痢と便秘を繰り返す
- 肛門の位置異常
- 腹部膨満(おなかが張っている状態)
- 仙骨部皮膚所見
このうち肛門の位置異常と仙骨部皮膚所見は一般の方が判断することが少し難しい項目になるので、健診などの際にかかりつけ医の先生に相談されると良いと思います。
子どもの便秘の基本的な考え方として、うんちをする際に痛みなどの不快感があると、うんちをしたくなくなり、我慢してしまうため、便秘が増悪していきます。
うんちをすることが気持ち良いと感じるようになると、すぐにうんちをしてくれるため、お腹にたまらず、便秘になりにくくなります。水分摂取やお腹のマッサージ、綿棒浣腸などを上手に利用して、すっきりしたうんちが続けられるようにしましょう。
■回答してくれたのはこの方■
濵野 翔 先生
杏林大学医学部卒。小児科医。アレルギーと呼吸器を専門とした小児科「ベスタこどもとアレルギーのクリニック」院長。
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