離乳食を与える際に意識してほしい栄養素のひとつに鉄分が挙げられます。そもそも、なぜ赤ちゃんに鉄分が必要なのでしょうか。
ここでは、離乳食における鉄分の重要性についてお話したいと思います。
離乳食に大切な「鉄分」とは?いつから必要?
「鉄」は、体内でヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶという重要な役割を果たしている栄養素です。
赤ちゃんは胎内にいるときは母体から鉄分をもらっており、うまれてからも5~6か月ほどは貯蔵鉄として体内に残っていますが、その後は徐々に少なくなっていきます。
離乳食の時期から、少しずつ意識して鉄分を補っていきましょう。
また、一般的に、ミルクの赤ちゃんよりも母乳の赤ちゃんの方が鉄分不足になりやすいと言われています。
離乳食の鉄分不足が赤ちゃんに引き起こす症状とは
鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血になります。
鉄分不足になると、
- 顔色が青白い
- 唇の赤みが薄い
- 口の端が切れている
- 爪が白っぽい
- 爪が反りあがる
という外観的症状や、
- 疲れやすい
- 食欲が落ちる
- 呼吸が早い
といった自覚症状などありますが、赤ちゃんの場合は気がつきにくく、健診などで分かることが多いです。
乳幼児の貧血を放置すると発達遅延の影響があると言われていますので、離乳食でも鉄分が摂れるよう心がけるとよいでしょう。
鉄分を多く含むおすすめ食材は?
鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。吸収率がよいのは「ヘム鉄」です。
それぞれの鉄分を多く含む食材を紹介します。
・牛肉(赤身)
・いわし、かつお、まぐろ
・あさり、しじみ、かき など
・ほうれん草
・青梗菜
・レンズ豆
・納豆
・あずき、大豆
・ひじき、のり
・卵黄 など
これらの食材をうまく離乳食に取り入れ、バランスのよい食生活を心がけましょう。
離乳食の鉄分を上手に摂るポイント
ポイントその1:ビタミンCを含む食材と一緒に
鉄分を含む食材は、それだけで食べるのではなくビタミンCを多く含む食材と一緒に摂ると吸収率がアップします。
特に非ヘム鉄はヘム鉄と比べて吸収率が低いので、ブロッコリーやじゃがいもなどビタミンCを含む食材とあわせてメニューを作ると吸収がよくなります。
ポイントその2:鉄分不足にはまぐろの水煮缶が便利
赤身の魚は加熱すると身がしまってかたくなるので、まぐろの水煮(無塩)缶などを利用するのもいいと思います。
ポイントその3:レバー入りベビーフードを活用して鉄分摂取
レバーには鉄分を多く含むことは分かっていても、普段レバーの調理をしない方は抵抗があると思いますので、ベビーフードなどを利用してもよいでしょう。
離乳食であげるときには、鉄分を含む食材だけでなく、主食・副菜・主菜をまんべんなく摂る必要があるので献立作りの参考にしてください。
山本 理江 先生
管理栄養士・フードコーディネーター。乳幼児健診での食事指導や離乳食~幼児食教室に携わる。食育講演、子育てに関する講演および料理教室なども行っている。
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