A.離乳中期ごろから料理に少しずつ混ぜてみて。飲み物として牛乳を飲めるのは1歳を過ぎてから。
ご質問ありがとうございます。
牛乳はアレルギーの面からも、いつからどのように与えるべきか悩みますよね。
特に、今まで完全母乳で育ててきた赤ちゃんの場合、「ミルク(粉ミルク)も飲んだことがないけど、どうやって牛乳を始めればいいの?」と悩むかもしれません。
育児用粉ミルクを少量試してみるのがおすすめ

完全母乳のおうちは、いきなり牛乳を与えるより、まずは育児用の粉ミルクを少量から試す方法がおすすめです。粉ミルクも牛乳由来のたんぱく質を含むので、アレルギー反応がないか確認しながら慣らすのに適しています。
最初は1日1回、スプーン1さじ(約1~5mL)程度のごく少量のミルクを作り、赤ちゃんに飲ませてみます。
同じ量を数日繰り返して問題なければ、少しずつ量を2mL、5mL、10mL…と増やしていきましょう。
離乳食が進んでいる場合は、作ったミルクをおかゆに混ぜるなど料理に使ってもかまいません。ある程度ミルクに慣れたら、調理に少量の牛乳を使ってみるのも良いでしょう。
ただし牛乳は同じ量の粉ミルクよりたんぱく質量が多くアレルギーを起こしやすいことに留意し、はじめはスプーンひとさじのごく少量から試してください。
牛乳を与えるのは離乳中期以降から

離乳食作りに牛乳を少量使う場合、離乳中期(生後7~8か月頃)から、牛乳を加熱して少量を料理に混ぜて使うのは問題ないとされています。
例えばパンがゆやスープ、シチューの風味付けにごく少量の牛乳を加える程度ならOKです。しっかり加熱すれば乳蛋白もある程度分解されますし、少しであれば腎臓や貧血への負担も心配ありません。
むしろアレルギー予防の観点では、牛乳の「デビュー」を遅らせても予防効果は確認されていないため、安全に配慮しながら早めに慣らしていくほうが良いとされています。
牛乳そのものを飲むのは1歳を過ぎてから

日本では、「牛乳は飲み物として与えるのは1歳を過ぎてからが望ましい」とされています。
これは、牛乳には母乳に比べてたんぱく質やミネラル(カルシウムやリンなど)が多く含まれており、腸や腎臓のはたらきが未熟な赤ちゃんには負担になるためです。
また牛乳は鉄分が少なく、カルシウムが鉄の吸収を妨げるため、1歳未満で牛乳ばかり飲むと鉄分が不足して鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。
このような理由から、1歳になるまでは牛乳を日常的な飲み物として与えない方が良いとされているのです。
脱脂乳・低脂肪乳はたんぱく質が多いので注意

赤ちゃんに牛乳を与える際は、成分無調整の「普通牛乳」を使うようにしましょう。
無脂肪乳や低脂肪乳では脂肪分が減っている分、同じ容量あたりのたんぱく質比率が高くなるからです。
特に市販の脱脂粉乳(スキムミルクパウダー)は牛乳を濃縮して乾燥させたものなので、たんぱく質含有量が多くなっています。
たんぱく質量が多いほどアレルギー症状は出やすくなる傾向があるため注意が必要。
実際、同じ100mLを与えるなら低脂肪乳より脂肪分もしっかり含んだ通常の牛乳の方がたんぱく質濃度が低く、安全と言えます。
脂肪分自体はアレルギーの原因ではないので、1歳~2歳頃までは無理に低脂肪タイプを選ぶ必要はありません。
標準的な牛乳を適量取り入れ、栄養バランスと安全の両面で上手に活用していきましょう。
■回答してくれたのはこの方■

濵野 翔 先生
杏林大学医学部卒。小児科医。アレルギーと呼吸器を専門とした小児科「ベスタこどもとアレルギーのクリニック」院長。
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