Q.離乳食のそばはいつから食べられる?与え方や注意点が知りたい!

今回のご相談
離乳食の「そば」って、いつごろからあげてもいいのでしょうか?アレルギーが出やすいと聞いたので敬遠しがちですが、いいタイミングってあるのでしょうか…?注意したいアレルギー症状なども知りたいです!

A.明確な決まりはありませんが、生後1歳~1歳半の間にごく少量からスタートするのが一般的。呼吸困難などの重い症状に注意が必要です。

ご質問ありがとうございます。

離乳食のそばデビューですが、赤ちゃんにそばを与え始める明確な決まりは実はありません

厚生労働省の離乳食ガイドラインにも具体的な月齢は示されておらず、育児書によって「9か月頃からOK」「離乳初期からすりつぶして少量ならOK」「1歳過ぎまで避けたほうが良い」など意見が分かれているのが現状です。

一般的には、離乳食の初期~中期(生後5~8か月頃)にはアレルギーの強い食品は控えることが多く、1歳~1歳半くらいになってから様子を見て少量ずつ与えることが推奨されています

「◯歳までは絶対ダメ」というわけではなく、お子さんの成長や食べ物の進み具合を見ながら、必要に応じて主治医と相談の上で進めていくと良いでしょう。

そばアレルギーとは?重症化しやすい?

そばアレルギーはほかの食物に比べ、微量でも重い症状(アナフィラキシーショックなど)を起こしやすいとされています。実際、ピーナッツと並んで命にかかわる深刻な症状につながる傾向があり、国内でも1988年に学童の死亡例が報告されています。

このため、そばは特に注意すべきアレルゲンとして食品表示でも特定原材料に指定され、加工食品では必ず「そば」と表示する義務があります。

幸い、そばアレルギーの患者数自体は多くなく、日本アレルギー学会の調査では、小学生の約0.22%にとどまっています。

そばのアレルゲン(原因物質)はそば粉に含まれるたんぱく質です。このたんぱく質は熱に強く水に溶けやすい性質があり、加熱調理してもアレルギー性が失われません。

そのため、極めて微量の摂取でも体が敏感に反応してしまいます。

例えば、そばをゆでたお湯を使ったほかの麺類(うどんなど)を食べただけでもアレルギー症状を起こすことがあり、そば粉を使った菓子やパンケーキなどわずかにそば粉が混入した食品でも油断できません。

またそば粉は舞いやすいため、そば打ち場など空中にそばの粉じんが飛んでいる場所では、食べなくても吸い込むだけで喘息様の症状を起こす例も報告されています。このようにそばアレルギーは「食べなければ安全」とは言い切れないところがあるのです。

ただし、そば自体は栄養豊富ですがほかの食品で代替可能です。無理に与えなくても、うどんやご飯などで十分代わりになりますので、過度に心配しすぎる必要はありません

初めてそばを試すときのポイント

離乳食後期~完了期にいよいよそばデビューする際は、以下の点に気をつけましょう。

1. 最初はごく少量から始める

いきなり普通の量を食べさせるのではなく、まずは一口分だけにとどめます。

例えば麺1本を1cmほどに切った量から始めると良いでしょう。少量ずつなら、万一アレルギー症状が出ても重症化しにくいと考えられます。

2.平日午前中に試す

そばアレルギーの反応は食後数分~2時間以内に出ることが多いので、病院にすぐ行ける時間帯に試すのが安全です。

できれば平日の午前~お昼頃までに与え、夕方〜夜間や病院の休診日(夜間・休日)は避けましょう。

3.体調のいいときにおこなう

そばは、お子さんの体調が万全な日に試します。風邪気味だったりほかの不調がある時期は避けてください。

体調が悪いとアレルギー症状も重く出やすく、判断もしにくくなります。

4.ほかの初めての食材と同時に与えない

そば以外の新しい食品は避け、何が原因か切り分けやすい状況で与えます。そばを初めて食べた日に別の初挑戦食材があると、もし症状が出ても原因が特定できず対応が遅れる可能性があります。

そばアレルギーの症状は?即時型アレルギーに注意

そばアレルギーの症状は、そのほとんどが食後すぐ~2時間以内に現れる即時型です。症状が出るまでの時間が比較的短く、早い場合は食べて数分で体の異変が起こります。

典型的な症状としては次のようなものがあります。

  • 皮膚の症状:じんましん(蕁麻疹)や発赤、全身のかゆみなど。皮膚が赤くなったりブツブツが出たりします。
  • 消化器の症状:嘔吐、腹痛、下痢など。小さい子では機嫌が悪くなったり、お腹を痛がって泣くこともあります。
  • 呼吸器の症状: 咳、喉の違和感、ゼーゼーと喘鳴が聞こえる、声がかすれる、呼吸が浅く苦しそうになる、など。特にそばアレルギーでは呼吸器症状が出やすい点に注意です。
  • 循環器の症状:顔色が青白くなる、脈が弱くなる、ぐったりして反応が鈍くなるなど。血圧低下によるショック状態のサインです。

そばアレルギーでは、呼吸困難や顔面蒼白など重い症状が最初から現れることも少なくありません。咳き込んだりゼーゼーしている場合は要注意です。

アナフィラキシーショックに陥ると意識がもうろうとして命の危険がありますので、一刻も早い対応が必要になります。

そばアレルギーの症状が出たときの対処法

万が一、そばを食べた後に前述のような症状が現れたら、以下のように対応しましょう。

1.すぐに食べるのを中止する

残っているそばや食事はストップし、口の中にそばが残っている場合は掻き出すか水でよくすすいで取り除きます。これ以上体内に入らないようにするためです。

2.症状を観察する

発疹が数個出た程度でほかに症状がないか、咳が出ているか、呼吸は苦しそうか、嘔吐はあるかなど、お子さんの様子を注意深く見ます。

症状が軽くても油断せず、少しでも異常があれば医療機関を受診してください。

3.早めに受診する

軽いじんましん程度でも当日中に小児科を受診しましょう。そばアレルギーの疑いがあれば医師に伝え、今後の方針を相談します。

呼吸器症状や激しい嘔吐など強い症状が出ている場合は迷わず救急車を呼びます。特に呼吸困難や意識低下(反応が鈍い、ぐったりしている)はアナフィラキシーショックの可能性が高く、緊急対応が必要です。

以上の点を踏まえ、お子さんの様子を見守りながら、無理のない範囲でそばを食べさせていきましょう。


■回答してくれたのはこの方■

濵野 翔 はまの しょう 先生

杏林大学医学部卒。小児科医。アレルギーと呼吸器を専門とした小児科「ベスタこどもとアレルギーのクリニック」院長。


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