Q. 赤ちゃんの鼻水ケアの方法や病院を受診の目安を知りたい!

今回のご相談
生後2か月の赤ちゃんが鼻がつまっていて、息苦しそうに見えます。でも鼻水がなかなかうまく取れなくて…。病院を受診した方がいいでしょうか?家でできる鼻水ケアの方法も教えてほしいです!

A.  鼻水・鼻づまりは赤ちゃんによくある症状ですが、苦しそうな様子が続く場合や、ほかの症状を伴う場合は早めに受診を検討しましょう。

ご質問ありがとうございます。

新生児や低月齢の赤ちゃんは自分で鼻をかむことができません。特に生後2か月ごろまでは口で呼吸できず鼻呼吸しかできないため、鼻水や鼻づまりは放っておくと呼吸や授乳が苦しくなりがちです。赤ちゃんは大人と同じくらい鼻水が出るとも言われ、体が小さい分少しの鼻水でも詰まりやすいのです。

今回は、病院を受診するべき目安やご家庭でできる赤ちゃんの鼻水ケアの方法、鼻水吸引器(鼻吸い器)の使い方・選び方についてわかりやすく解説します。

病院へ行くべき症状の目安は?

赤ちゃんの鼻水・鼻づまりが続くとき、「どの程度で病院に連れて行くべきか」悩む親御さんは少なくありません。例えば、生後2か月の赤ちゃんが鼻づまりで少し息苦しそうな場合、「鼻水がうまく取れず常に詰まっているように見えるが、病院を受診すべきでしょうか?」といった相談がよく寄せられます。

基本的には、熱もなく母乳やミルクが飲めて機嫌もまずまず良いようであれば、数日〜1週間程度は自宅で様子を見ても大丈夫です。

鼻がつまっていても、哺乳が問題なく、しっかり眠れているなら過度に心配する必要はありません。こまめな鼻水ケアをしながら見守りましょう。


ただし、次のような様子が見られるときは早めに小児科を受診してください。

  • 呼吸がゼーゼーして苦しそうなとき(呼吸困難感が強い)
  • おっぱい・ミルクを十分飲めないとき(鼻づまりで飲みづらく、授乳に支障が出ている)
  • 高い発熱があるとき(特に生後3か月未満の発熱は要受診)
  • ぐったりして元気がない、明らかに機嫌が悪いとき
  • 鼻水の色が黄色〜緑色に濁って量が多く、長引いているとき
  • 激しい咳が続いているとき
  • 鼻づまりがひどく、眠れない様子のとき


これらの症状が見られる場合、単なるウイルス性の鼻かぜ(感冒)ではなく細菌感染症の併発や他の病気の可能性があります。特に呼吸が苦しそうな場合は夜間でも躊躇せず救急を受診してください。

家庭でできる鼻水・鼻づまりケア

ご家庭でできる鼻水・鼻づまりのケア方法には、いくつかのポイントがあります。以下に具体的な対策をご紹介します。

部屋の湿度・温度を適切に保つ

空気が乾燥すると鼻水が粘りやすくなります。加湿器の使用や室内に濡れタオル・洗濯物を干すなどして、部屋の湿度は50〜60%程度に保ちましょう。

空気が冷たいと鼻づまりがひどくなるため、室温は20℃以上を目安に保つと症状が和らぐことがあります。赤ちゃんのいる部屋では喫煙しないようにしましょう。タバコの煙は鼻粘膜を刺激するだけでなく、気管支炎や喘息など様々な病気のリスクにもなります。

蒸気や温かいタオルで鼻づまりを緩和

発熱がなければ入浴も効果的です。お風呂の蒸気を吸い込むことで鼻の粘膜の腫れがとれ、鼻づまりがラクになります。入浴前に浴室を暖め湯気を充満させておくとより効果的です。

もしお風呂に入れない場合は、熱すぎない程度に温めた蒸しタオルを鼻の付け根や鼻の下にしばらく当ててあげると、詰まった鼻水がやわらかくなり取れやすくなります。

このとき鼻と口の両方を覆わないように注意してください。鼻水が固まっている場合は無理に奥まで取ろうとせず、鼻の入り口付近の分泌物だけ優しく拭き取るようにしましょう。

鼻水は優しく吸引・除去する

赤ちゃんの鼻水は放っておくと喉の奥や耳へまわり、中耳炎や副鼻腔炎の原因になることがあります。市販の鼻吸い器や綿棒、ぬるま湯で湿らせたガーゼなどで、こまめに鼻水を取ってあげましょう

とくに小さい赤ちゃんは鼻呼吸しかできないので、鼻づまりが続くと自力で呼吸がしにくくなります。鼻水が鼻の奥にたまっていると苦しいため、できるだけ吸引で取り除いてあげるのが望ましいですが、完全にすべてを取るのは難しいものです。

無理に奥まで器具を入れると鼻粘膜を傷つけて出血してしまう恐れがあるため注意しましょう。吸引しにくいときは、事前に蒸しタオルで鼻先を温めたりして鼻水を柔らかくしてから行うと効果的です。

鼻水吸引は1日4〜5回程度を目安に、赤ちゃんの苦しさに応じて行えば十分です。赤ちゃんが嫌がって暴れる場合も多いので、必要に応じてパパとママの二人がかりで頭と手足をしっかり固定し、安全に吸引してあげてください。

鼻吸い器の種類は?

市販の鼻水吸引器(鼻吸い器)はいくつかのタイプに分かれており、それぞれ使い勝手が異なります。主な分類と特徴を見ていきましょう。

電動タイプの鼻吸い器

電動式の鼻吸い器には、大きく分けて据え置き型(コンセント式)とハンディ型(電池・充電式)の2種類があります。

据え置き型は家庭用コンセントにつないで使用する本体で、吸引力が非常に強く短時間で奥の鼻水まで吸引できるのが利点です。その反面、本体が大きめで持ち運びに向かず、価格も高めになります。動作音もやや大きいものが多いため、赤ちゃんが音に驚く場合や夜間の使用には留意が必要です。


一方のハンディ型(携帯型)は電池式・充電式で動く小型の電動鼻吸い器です。据え置き型より吸引力は劣るものの十分実用的なパワーがあり、片手で扱えるコンパクトさが魅力。お手入れも比較的簡単で、本体を持ち運んで外出先でも使用しやすい点もメリットです。動作音は据え置き型より静かな製品が多く、赤ちゃんが音を怖がりにくいという利点もあります。


いずれの電動タイプも手動より吸引力が強く短時間でしっかり鼻水を取れるため、鼻水の量が多い子や頻繁に風邪をひく子には育児の負担軽減につながります。その分、各部品の洗浄や定期的なメンテナンスも必要になるので、使用頻度が高い場合はお手入れのしやすさにも注目して機種を選ぶとよいと思います。

手動タイプの鼻吸い器

電気を使わず手動で吸引するタイプの鼻吸い器もあります。その形状によってさらに主に3つの種類に分けられます。

1.スポイト式

ゴム球やシリコン球をシュポシュポと押して吸引する昔ながらのスポイト型です。構造がシンプルで部品が少なく、お手入れしやすいのが利点です。片手で扱える手軽さもあり、価格も比較的安価です。吸引力は電動ほど強くありませんが、サラサラした鼻水であれば十分吸い出せます。ただ、粘度の高い鼻水や奥にある鼻汁には効果が弱いこともあります。

2.手動ポンプ式

ハンドポンプ(手で何度も握って圧力をかけるポンプ)を使って吸引するタイプです。手動式の中では吸引力が強い製品が多く、電動に匹敵する吸引力を持つものもあります。一方で構造上パーツが多く、使用後の洗浄・消毒にやや手間がかかるものもあるため、お手入れの煩雑さというデメリットがあります。

3.ストロー(チューブ)式

保護者がチューブの先についたマウスピースをくわえて口で吸うタイプです。構造が簡単で非常にコンパクト、持ち運びも容易です。電動と違い動作音が一切しないため、寝ている赤ちゃんにも使いやすいです。

価格も安価で手に入りますが、吸引力は保護者の吸う力に依存するため奥の粘っこい鼻水には限界があります。また、チューブやボトル部分に鼻水が入るので、その都度しっかり洗浄・乾燥させ衛生を保つことが大切です。

鼻吸い器の選び方ポイント

お子さんの鼻水の状態やご家庭での使用シーンに合わせて、適したタイプの鼻吸い器を選びましょう。一般的に、鼻水の量が多かったり、頻繁に鼻づまりする子には吸引力の強い電動式が良いと思います。

一方で「音がしないので寝ている時に使いやすい」といった理由で手動式を愛用する家庭もあります。吸引力・静音性・お手入れのしやすさ・携帯性・価格などのポイントを踏まえ、メインで使う一台+必要ならサブの一台を組み合わせるのも良いでしょう。

なお、どの鼻吸い器を使っても改善しないほど鼻づまりがひどい場合は、無理に吸引を続けず早めに医療機関を受診してください。


■回答してくれたのはこの方■

濵野 翔 はまの しょう 先生

杏林大学医学部卒。小児科医。アレルギーと呼吸器を専門とした小児科「ベスタこどもとアレルギーのクリニック」院長。


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