離乳食の進め方【完了期(1歳〜1歳6か月ごろ)】食材やメニューなどを詳しく解説

1日3回の食事にも慣れ、徐々に大人と同じリズムに近い時間で食べられるようになってきたこのころ。

赤ちゃんによっては卒乳していたり、もう少しで卒乳の子もいるので、手づかみ食べをしたり、スプーンを使って自分で食べる意欲をのばしていきたい時期でもあります。

食材の種類や調理法の幅もグンと広がります。さまざまな食材や料理にふれ、食べる喜びや楽しさを感じ、そのなかでいろいろな栄養素をバランスよく摂れるように心がけていきましょう。

ステップアップの目安は?

「離乳食後期と完了期って何が違うの?」「いつから完了期メニューを始めればいいの?」と疑問に感じるママパパも多いはず。ここでは、完了期に進むためのサインをいくつか紹介します。

1.3回の離乳食をしっかり食べている

1日3回の離乳食が定着し、同じ時間帯に食べられて生活リズムが整っていれば、次のステップに進む準備を。

2.自分で手づかみして食べることができる

手づかみ食べを始めて、少しずつ自分で食べることに慣れてきたと感じたら、新たなメニューにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

ただし、手づかみ食べは個人差が大きく、手が汚れるのを嫌がり突然スプーンで食べ始める子もいるので、手づかみ食べをしないからといって焦らなくても大丈夫です。

3.やわらかい肉だんごくらいのかたさのものを、口の中でつぶして食べられる

1歳になると、前歯だけでなく奥歯が生え始める赤ちゃんも。前歯でちぎった食材を、奥歯でかんで飲み込むといった複雑な動作もできるようになります。

やわらかい肉だんごほどのかたさを、しっかりかんで飲み込んでいるようなら、次のステップに進みましょう。

歯の生え方には個人差があるので、まだ奥歯が生えそろっていない場合は前歯でかじり取って奥の歯茎ででつぶせるかたさのものが食べられていれば大丈夫です。

進め方のポイント

離乳食完了期の進め方のポイントをいくつかご紹介します。

1.1日3回の食事の時間を大人に近づけて

離乳食で栄養を摂れるようになってくると、徐々に授乳回数が減っていきます。その結果、1日3回の離乳食を大人と同じリズムで与えられるように。

授乳回数などは個人差があるので、必ず大人と一緒に食べられるとは限りませんが、大事なのは毎日決まった時間に食事をすること。そうすることで体内リズムが整い、赤ちゃんを規則正しい生活へと導いてくれますよ。

2.3回の食事で摂りきれない栄養をおやつで補いましょう

3回食になることで、栄養のメインが離乳食に移行していきます。

しかし、赤ちゃんの胃はまだ小さく、一度にたくさんの量を食べられません。3回の食事だけでは、必要なエネルギーが十分に摂れないことも。

ここで取り入れたいのがおやつ(補食)です。おやつといっても、普段わたしたちが食べているスイーツなどのおやつとはちょっと違い、よく「第4の食事」なんていわれることもあります。

あくまで食事では摂りきれない栄養をとるためのメニューと考えましょう。

離乳食とは別に、1日1~2回のおやつをはさむことで、赤ちゃんに必要なエネルギーを補っていくイメージです。

3.手づかみ食べを積極的に取り入れてみましょう

早ければ離乳食後期ごろから始まる手づかみ食べ。このくらいの月齢になると、食べ物への興味が強くなり、さまざまなものを触りたがる赤ちゃんもいると思います。

そんな気持ちに応えるために、少しずつ手づかみ食べできるメニューを増やしてみましょう。

スティック状にした野菜やパン、フルーツなどは赤ちゃんも握りやすく、手づかみ食べの定番。ほかにも、魚やハンバーグなどをちょうどいい大きさに丸めるのもいいですし、ひとくちサイズのおにぎりなども◎。

ただし、赤ちゃんはまだ自分に合った一口の分量が分からないため、一気に口の中に入れてしまう危険も。大人がしっかり見守れる環境で、さまざまなバリエーションの手づかみ食べメニューを試してみてください。

4.スプーンの練習も少しずつ初めてみましょう

大人が持っているものに興味津々のこの時期の赤ちゃん。ママパパが離乳食に使っているスプーンやフォークを持ちたがる子もいるかもしれません。

完了期は、手づかみ食べと並行して、スプーンの練習を始めるのにおすすめなタイミング。「自分でやりたい」という赤ちゃんの自主性を大事にして、食事の様子を見守っていきましょう。

最初はスプーンを持っても、食べる練習はしないでおもちゃにすることも。そのときは、大人が手を添えて口まで運んだり、スプーンの上に適量の食べ物をのせてあげてみてください。

スプーンの使い方をマスターするためではなく、あくまで食事の楽しさを伝えるためにトライしてみましょう。

やわらかさ・大きさの目安、味付けは?

ごはんは大人が食べるごはんを少しやわらかくした程度の軟飯に。食材のかたさは「肉だんご」くらいが目安です。

調味料は、後期のときよりさまざまな種類が使えるようになるので、大人と同じ食事からの取り分けがしやすくなります。ただし、味付けは薄味が基本なので、味を薄めるなど工夫が必要に。

やわらかさ・大きさの目安

軟飯

大人のごはんを少しやわらかくした程度のもの。慣れてきたら、大人と同じごはんでもOK。

野菜

スティック状や角切りにして、フォークをさしたらスッと切れる程度のかたさに茹でる。

魚は茹でて皮と骨を取り除き、繊維が分かる程度に粗めにほぐす。

調味料のアレルギーには要注意

主に完了期から使える調味料として、バター、マヨネーズ、ケチャップなどが挙げられます。料理のバリエーションがぐっと広がり、離乳食作りも楽になるかもしれません。

ただし、ここで気を付けたいのが食物アレルギー。

例えば、マヨネーズには卵黄が含まれている場合が多いので、卵アレルギーを持つ赤ちゃんには与えられません。ほかにも、調味料には一見分からないけれど実はこんな食材が使われていた、というケースも。

新しい調味料にチャレンジする際には、必ず食品成分表を確認するようにしましょう。

1食分の目安量は?

離乳食完了期の1食分の目安量を3つの栄養素別にまとめました。初めて食べさせる食材は1さじから始めるのが基本です。目安量はあくまで目安ですので、この通りにいかなくても大丈夫です。

炭水化物 

  • 軟飯 80g
  • うどん  90~120g
  • 食パン  40~50g

たんぱく質

  • 豆腐   50~55g
  • 魚・肉  15~20g
  • 卵    全卵1/2~2/3個
  • 乳製品  100g

ビタミン・ミネラル

  • 野菜・果物 40~50g

食べさせ方のポイント

赤ちゃんが食べやすくするために、姿勢や、スプーンの運び方にも気を配りましょう。離乳食をどんな姿勢であげるのか、スプーンをどうやって口に運ぶのか、ポイントやコツをご紹介していきます。

どんな姿勢で食べさせるの?

赤ちゃんが自分で食べやすいようにテーブルとイスを近づけ、手が届く距離に皿やスプーンがある状態にしてあげましょう。イスの高さは、手を下ろしたときにひじの関節がテーブルにつくくらいがちょうどいいです。

どうやって食べさせるの?

自分で手づかみやスプーンで食べる時間を大事にしましょう。大人はサポート役に徹して、食の進みが悪かったり、遊び始めた場合口もとに食べ物を運ぶ程度でOK。

1日の大まかなスケジュールは?

ここでは、離乳食完了期のタイムスケジュール例をご紹介します。

1日3回の食事にも慣れてきたころ。できるだけ大人と一緒に食卓を囲みましょう。一緒にごはんを食べる時間を共有することで、赤ちゃんの豊かな食生活が育まれていきます。

また、日中の授乳の回数が減ってきたら、栄養を補う意味で1日1~2回のおやつをプラスしてみてください。

離乳完了期タイムスケジュール例

  • 7:00
    断乳・卒乳前

    離乳食+母乳・ミルク

    離乳食ミルク
    断乳・卒乳後

    離乳食

    離乳食
  • 10:00
    断乳・卒乳前

    おやつ

    断乳・卒乳後

    おやつ

  • 12:00
    断乳・卒乳前

    離乳食+母乳・ミルク

    離乳食ミルク       
    断乳・卒乳後

    離乳食

    離乳食
  • 15:00
    断乳・卒乳前

    おやつ

          
      
    断乳・卒乳後

    おやつ

  • 18:00
    断乳・卒乳前

    離乳食+母乳・ミルク

    離乳食ミルク       
      
    断乳・卒乳後

    離乳食

    離乳食
  • 22:00
    断乳・卒乳前

    母乳・ミルク

    ミルク
    断乳・卒乳後

1回分の献立例

離乳完了期の献立例をご紹介します。毎日の離乳食づくりの参考にしてみてください。

離乳完了期献立例

【主食】

しらすと小松菜のリゾット


【主菜】

ブロッコリーと鶏肉ピカタ


【副菜】

具沢山豚汁


完了期では「自分で食べる楽しさ」を知ってもらおう

離乳食を通してさまざまな経験を積んできた赤ちゃん。完了期は、手づかみやスプーンを使って「自分で食べられた」という達成感を味わってほしい時期でもあります。きっとそれが、今後の幼児食、その先の食生活へとつながっていくはずです。

とはいえ、離乳食に個人差はつきもの。赤ちゃんの成長に合わせて、無理なく進めていってくださいね。


■監修の先生

管理栄養士山本さん

山本 理江 やまもと まさえ 先生

管理栄養士・フードコーディネーター。乳幼児健診での食事指導や離乳食~幼児食教室に携わる。食育講演、子育てに関する講演および料理教室なども行っている。


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