今まで1日1回、2回の離乳食を頑張ってきたママパパ。赤ちゃんも少しずつ食べられる量や種類が増えてきて、だんだんと離乳食のコツもつかめてきたころだと思います。
早い赤ちゃんだと生後9か月あたりから、ついにわたしたち大人と同じ1日3回の食事がスタートします。
離乳食が1日3回になることで、赤ちゃんが摂る栄養のメインが、母乳やミルクから離乳食にスイッチするのもこの時期の大きな特徴です。
とはいっても、まだ食事量が安定しなかったり、ミルクを欲しがる赤ちゃんも多いはず。焦らず、少しずつでかまわないので、食べられる食材を増やしつつ栄養バランスのいい献立を意識してみましょう。
ステップアップの目安は?
赤ちゃんに次のような様子が見られたら、3回食にトライしてみるサインかも。
1.豆腐くらいのかたさのものを口を動かして食べられる
絹ごし豆腐程度のかたさの食べ物を、舌を左右に動かし、モグモグと口を動かして食べられているようなら、離乳食をステップアップしてみるのもいいかもしれません。
このころになると、上下4本ずつの歯が生えそろってくる赤ちゃんも。今までは歯ぐきや舌で食べていたものが、前歯も使えるようになることで、離乳食のレパートリーがぐっと増えていきますよ。
ただし、歯の生える時期には個人差がありますので、この時期に生えていなくても、特に問題ありません。
2.1日2食の離乳食を安定して食べている
1日2回の離乳食をしっかり食べ、母乳やミルクも問題なく飲めていれば、3回食を始める準備を進めていきましょう。
3.1食で子ども用茶わんに軽く1杯くらいを食べている
離乳中期の赤ちゃんのごはんは、7倍がゆを50~80gが目安。この分量を問題なく食べていたら、3回食への準備が整ったサインといえます。
しかし、赤ちゃんの食べる量には個人差があるもの。分量はあくまで目安なので、この分量を食べきらないと3回食に進めない、というわけではありません。
普段の赤ちゃんの食べる様子をよく観察して、無理なく3回食への準備を進めていきましょう。
進め方のポイント
離乳後期の進め方のポイントをいくつかご紹介します。
1.3回食にステップアップ!なるべく決まった時間に食べるよう心がけて
今まで朝と夕2回にあげていた離乳食が、わたしたち大人と同じ3回になります。
食事は、赤ちゃんの規則正しい生活リズムをつくるのに大切なツールです。食事の時間を決めることで、おのずと活動時間、午睡時間が定まっていくことも。
食事の間隔は3~4時間あけ、できるだけ決まった時間に食べさせてみましょう。赤ちゃん自身の体内時計が、徐々につくられていくはずです。
2回食を朝・夕にあげている場合、真ん中のお昼ごろに3回目を入れることになると思います。
3回食で食材の幅も広がりますが、初めてあげる食材はすぐに受診できるよう病院の診察時間内に当たる朝・夕に、お昼には食べたことのある食材をあげるようにすると安心です。
2.栄養のメインが離乳食に。栄養バランスにも気をつけて
個人差はありますが、この時期になると徐々に母乳やミルクの量が減り、赤ちゃんが摂る栄養のメインが離乳食に移行していきます。
今までは主に「食べる練習」としてあげていた離乳食が、「生きるために必要な栄養を摂る」ためのものに変化していくので、離乳後期からは栄養のバランスも少し頭に入れておきましょう。
具体的には、体を動かすエネルギーとなる炭水化物、体の血や肉をつくるたんぱく質、体の調子を整えるビタミン・ミネラルの3つの栄養素を意識した献立作りが大切。
ただし、はじめからすべての栄養素をまんべんなく摂らせるのはとても大変。まずは、ママパパが3つの栄養素を参考にした離乳食作りを心がけるくらいの気持ちから始めてみましょう。
3.手づかみ食べに挑戦してみましょう
このくらいの月齢になると、赤ちゃんは手や指の機能が発達して器用に動かせるようになってきます。ここで積極的にチャレンジしたいのが「手づかみ食べ」。
食べ物を手でつかんだり指でつまんだりして、その形や手触りを確かめることが、赤ちゃんの食育にとても大切なんです。手がべたべたになったり、テーブルが汚れたりとママパパにとっては大変なこともありますが、ぜひおおらかな気持ちで見守ってあげてくださいね。
まずは、手づかみ食べしやすいゆで野菜やパンなどをスティック状に切ってあげてみて。ハンバーグなどを手でつかみやすい大きさに成形するのも◎。
4.調味料が使えるようになります
今までは主にだしで風味付けしていた離乳食ですが、後期になるとみそ、しょうゆ、塩、砂糖などの調味料が少しずつ使えるようになります。
「徐々に食の好みが出てきて、離乳食の進みが悪くなってきた…」なんて赤ちゃんにも、少し味を変化させられるので助かりますよね。
ただし、この時期の赤ちゃんはまだ塩分や油分をうまく消化できません。調味料はごく少量で、味付けというよりは風味付け程度の気持ちで使ってくださいね。
やわらかさ・大きさの目安、味付けは?
おかゆは今までの7倍がゆから5倍がゆにステップアップしてみましょう。米粒の形状が残っているくらいでOK。食材のかたさは指で少し力を入れたら簡単につぶせる「バナナ」くらいが目安です。
味付けには調味料が使えるようになります。とはいっても、目安としては、例えば塩なら1食分で0.12gと、ごくごく少量。
それでも赤ちゃんには新鮮な味に感じるかもしれません。今までとは違った味付けに驚いて食が進まなくなることも。そのときは無理をせず今まで通りの味付けに戻してみましょう。赤ちゃんが楽しくおいしく食べられるのを第一に調理してみてください。
やわらかさ・大きさの目安
5倍がゆ
後期からは5倍がゆ(全がゆ)にします。米粒の形状が残っている、いわゆる大人が食べるおかゆと同じかたさで大丈夫です。
野菜
野菜は指で簡単につぶせるくらいまでやわらかく煮て、4~6mm角、慣れてきたら薄切りスティック状に切ります。スティック状にした野菜は手づかみ食べの練習にも。
魚
肉と魚は茹でて皮と骨を取り除き、粗めにほぐします。
調味料はあくまで風味づけ程度に
このころから、調味料を使った料理が食べられるようになります。
しかし、何度も言いますが、調味料はごく少量で。風味づけ程度に、しょうゆやみそを使って赤ちゃんの食欲を刺激してみるのもいいかもしれません。
1食分の目安量は?
離乳後期の1食分の目安量を3つの栄養素別にまとめました。初めて食べさせる食材は1さじから始めるのが基本です。目安量はあくまで目安ですので、この通りにいかなくても大丈夫です。
炭水化物
- 5倍がゆ(全がゆ) 50~80g
- うどん 60~80g
- 食パン 20~30g
たんぱく質
- 豆腐 45g
- 魚・肉 15g
- 卵 全卵1/2個
- 乳製品 80g
ビタミン・ミネラル
- 野菜・果物 30~40g
食べさせ方のポイント
赤ちゃんが食べやすくするために、姿勢や、スプーンの運び方にも気を配りましょう。離乳食をどんな姿勢であげるのか、スプーンをどうやって口に運ぶのか、ポイントやコツをご紹介していきます。
どんな姿勢で食べさせるの?
食べ物をひとりでつかむなど、自分で食事をする練習が始まります。手を伸ばしやすいように、テーブルとイスの間隔や高さを合わせましょう。イスの背もたれにクッションなどを挟むと、姿勢が安定することも。
どうやって食べさせるの?
「あーん」などと声をかけ、赤ちゃんの口を開かせます。そしてスプーンを舌の手前に差し出します。このとき、食材を口の奥に入れてしまうと赤ちゃんがかむ練習ができないので注意。歯や歯ぐきでかむ習慣をつけるためにも、口の手前のほうに入れてあげましょう。
また、毎食でなくてかまわないので、手づかみ用メニューにもトライしてみて。最初は赤ちゃんも食材に触るのを戸惑うかもしれませんが、目の前でママパパが手でつかんで食べてみるなど見本をみせてみるのもいいでしょう。
手づかみ食べを嫌がる赤ちゃんもいるので、その場合には無理に持たせる必要はありません。スプーンやフォークで食べたがる場合もあるので、その子の好みやペースに合わせて、ゆったりとした気分で進めていきましょう。
1日の大まかなスケジュールは?
ここでは、離乳後期のタイムスケジュール例をご紹介します。
離乳食もいよいよ3回食に。はじめのころは、赤ちゃんにとっても負担になることもあるので、3回目の食事は量が少なめでもかまいません。その分、夜の授乳で補うイメージで。
食事の間隔も3~4時間あけるのが理想なので最初は以下のようなタイムスケジュールになりますが、3回食に慣れてきたら、母乳やミルクの回数を減らして、おやつ(補食)をあげたり大人と同じ時間帯の食事にトライしてみるのもいいでしょう。
離乳食後期タイムスケジュール例
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6:003回食を始めるころ
母乳・ミルク
3回食に慣れたころ母乳・ミルク
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10:003回食を始めるころ
離乳食+母乳・ミルク
3回食に慣れたころ離乳食+母乳・ミルク
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13:003回食を始めるころ
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3回食に慣れたころ離乳食+母乳・ミルク
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14:003回食を始めるころ
離乳食+母乳・ミルク
3回食に慣れたころ–
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15:003回食を始めるころ
ー
3回食に慣れたころ(おやつ)
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18:003回食を始めるころ
離乳食+母乳・ミルク
3回食に慣れたころ離乳食+母乳・ミルク
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22:003回食を始めるころ
母乳・ミルク
3回食に慣れたころ母乳・ミルク
1回分の献立例
離乳後期の献立例をご紹介します。毎日の離乳食づくりの参考にしてみてください。
離乳後期献立例
【主食】
にんじんとひじきの混ぜごはん
【主菜】
豆腐と鶏ひき肉のハンバーグ
【副菜】
わかめとかぼちゃのみそ汁
後期は新しい食生活スタイルにチャレンジ
離乳後期は、手づかみ食べや3回食など、より大人に近い食生活に近づける新たな練習を始める時期です。いろいろなことに好奇心を持って取り組んでくれる一方、「いやなことはいや!」と、しっかり主張し始めるのもこの時期の赤ちゃんの特徴。
無理強いはせず、赤ちゃんの様子を観察しながら、楽しんでステップアップしていけることを目標に進めてみましょう。
■監修の先生
山本 理江 先生
管理栄養士・フードコーディネーター。乳幼児健診での食事指導や離乳食~幼児食教室に携わる。食育講演、子育てに関する講演および料理教室なども行っている。
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